僧帽筋の筋力トレーニング

【2020年6月更新】

背中の厚みを作るための僧帽筋の筋力トレーニングについて解説します。効率的に僧帽筋を鍛えるためには、その構造と作用を知り、適切な軌道でトレーニングを実施することが大切です。

本記事は、公益社団法人JPA日本パワーリフティング協会によるトレーニング情報記事です。

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僧帽筋の構造と作用

僧帽筋は上部筋繊維・中部筋繊維・下部筋繊維の三部位に分けられます。このなかでも、背中の厚みを作るためのトレーニングとして重要となってくるのは中部筋繊維と下部筋繊維の上部です。

僧帽筋の作用は複雑ですが、主に肩甲骨の動きに関わっており、部位ごとの作用は以下のとおりです。

僧帽筋上部筋繊維:肩甲骨を引き上げる

僧帽筋中部筋繊維:肩甲骨を寄せる

僧帽筋下部筋繊維:肩甲骨を引き下げる

僧帽筋(そうぼうきん、英語: trapezius)は、人間の背中の一番表層にある筋肉である。

筋線維は首からの物は下に走り、その後腕の方に向かって横に走る。背中からの物は上に走り、同じように腕の方に向かう。筋繊維が異なった方向に走行しているので、多くの動作が可能になっている。

上方の筋線維は肩甲骨を持ち上げ、中間付近の筋線維は内側に引っ張り、下方の筋線維は下に下げ、上方と下方の筋線維が両方収縮するときは回転させる。

引用:Wikipedia「僧帽筋」

▼詳しい解説

僧帽筋の構造・作用・起始停止・支配神経

背中の厚みを作る鍛え方

Trapezius Gray409.PNG

以上のことから、背中の厚みを作るためには肩甲骨を寄せる動作のトレーニングを行えばよいことになります。

実際のトレーニングでは、肩甲骨が寄せやすいように狭い手幅で腕を引き寄せるトレーニングを行います。

次に、トレーニングの手段(種類)と背中の厚みを作る=僧帽筋を筋肥大させるための負荷重量設定について解説します。

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筋力トレーニングの種類と特性

1.自重トレーニング

自重トレーニングはよく「ウエイトトレーニングではない」と誤解され、そのため「毎日実施してもよい」などと言われますが、正式には”Self Weight Training”、つまりセルフウエイトトレーニングと呼ばれる自身の体重を負荷ウエイトに使うウエイトトレーニングの一種です。このため、他のウエイトトレーニングに準じ、超回復理論にのっとりプログラムを組んでいく必要があります。

なお、自重トレーニングは筋力トレーニングに初めて取り組む方にとっては手軽で、トレーニング入門には適切な方法ですが、ダンベルやバーベルを使ったフリーウエイトトレーニングほどの高負荷トレーニングは不可能ですので、本格的に身体作りを行いたい場合は、やはりフリーウエイトトレーニングを習得・実施していく必要があります。

2.チューブトレーニング

チューブトレーニングは、それ単体では筋肉に高負荷をかけることは難しいですが、自重トレーニングの後に仕上げで行ったり、他のトレーニング方法と組み合わせることで高い負荷を筋肉に加えることが可能です。

3.ダンベルトレーニング

ダンベルトレーニングは、フリーウエイトトレーニングの入門として自宅で行うこともできる方法です。複数の関節と筋肉を同時に動かす「複合関節運動|コンパウンド種目」しかない自重トレーニングに対し、単一の筋肉だけを集中的に鍛えられる「単関節運動|アイソレーション種目」が豊富なことが特徴です。

このように、ダンベルトレーニングは自重トレーニングから一歩進んだ自宅でのトレーニング方法として有効です。また、筋肉の稼動域が広いのもメリットで、ジムでのマシンやバーベルを使ったトレーニングの仕上げとしても最適です。

なお、ウエイトを片手で保持することから、同じフリーウエイトトレーニングのバーベルトレーニングに比べると高重量を扱えないというデメリットがあります。

4.マシーントレーニング

一般的なケースとして、自宅での自重トレーニング・ダンベルトレーニングを経験し、さらにレベルの高いトレーニングを目指してジムに通うようになった方が、最初に実施するのがマシントレーニングです。

マシントレーニングは動作起動がマシンによって支えられているため、初心者の方でも比較的簡単に高負荷トレーニングを実施できるのがメリットです。しかしながら、反面、動作起動のブレを止めるための体幹インナーマッスルが鍛えにくいというデメリットがあります。

ですので、最終的には高負荷かつ同時にインナーマッスルも強化できるバーベルトレーニングを中心に、補助的にマシントレーニングやダンベルトレーニングを行っていくのが、ジムにおける本格的な筋力トレーニングの在り方です。

5.バーベルトレーニング

全てのウエイトトレーニングの基礎となり、また、もっとも効果の高い筋力トレーニングがバーベルトレーニングです。両手でウエイトを扱うため高重量が扱いやすく、動作起動が完全に自身で制御できるため個人の特性に合わせたトレーニングの実施が可能です。

反面、動作フォームなど技術の習得が必要となり、専門家の指導下で実施することが必要になります。

また、バーベルトレーニングのなかでも「BIG3」と呼ばれるバーベルベンチプレス・バーベルデッドリフト・バーベルスクワットは、この3種目だけ実施していっても十分に全身の筋肉が強化できるとされています。

なお、パワーリフティング競技の3種目は、このバーベルベンチプレス・バーベルデッドリフト・バーベルスクワットの挙上重量によって競われます。

厚生労働省によるレジスタンス運動に関する記載

スクワットや腕立て伏せ・ダンベル体操などの標的とする筋肉に抵抗(レジスタンス)をかける動作を繰り返し行う運動をレジスタンス運動と言います。レジスタンス運動にはダンベルやマシンなどの器具を用いて行う方法と、スクワットや腕立て伏せのように自体重を利用して行う方法があります。

引用:https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/exercise/ys-058.html

筋繊維の種類とトレーニング目的別の負荷設定

筋力トレーニングの対象となる骨格筋は、筋繊維が束状になって構成されていますが、その筋繊維には大きく「遅筋」と「速筋」があり、速筋は「筋繊維タイプ2a」と「筋繊維タイプ2b」に分けられます。それぞれの特性と筋力トレーニングでの負荷設定は以下の通りです。

遅筋(筋繊維タイプ1)

持久的な運動において持続的な遅い収縮(Slow)をし、酸素(Oxygen)を消費することからSO筋とも別称されます。レジスタンストレーニングで鍛えてもほとんど筋肥大しません。陸上競技で例えるなら、長距離走に必要な筋肉です。

筋力トレーニングでは20レップス以上の反復回数で挙上限界がくるような、低負荷設定で鍛えます。

速筋(筋繊維タイプ2a)

持久要素のある瞬発的な動作において速い収縮(Fast)をし、酸素(Oxygen)を消費することからFO筋とも別称されます。レジスタンストレーニングで鍛えると筋肥大します。陸上競技で例えるなら、400~800m走に必要な筋肉です。

筋力トレーニングでは12~15レップスの反復回数で挙上限界がくるような、中負荷設定で鍛えます。

速筋(筋繊維タイプ2b)

瞬発的な運動において爆発的な速い収縮(Fast)をし、グリコーゲン(Glycogen)を消費することからFG筋とも別称されます。レジスタンストレーニングで鍛えると強く筋肥大します。陸上競技で例えるなら、100~200m走に必要な筋肉です。

筋力トレーニングでは6~10レップスの反復回数で挙上限界がくるような、高負荷設定で鍛えます。

厚生労働省による筋繊維に関する記載

骨格筋を構成している筋繊維には大きく分けて速筋と遅筋の2種類があります。速筋は白っぽいため白筋とも呼ばれます。収縮スピードが速く、瞬間的に大きな力を出すことができますが、長時間収縮を維持することができず張力が低下してしまいます。遅筋は赤みがかった色から赤筋とも呼ばれます。収縮のスピードは比較的遅く、大きな力を出すことはできませんが、疲れにくく長時間にわたって一定の張力を維持することができます。

引用:https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/exercise/ys-026.html

背中の広がりを作るためには10回前後の負荷回数設定

以上のことから、背中の厚みを作る=僧帽筋・広背筋中央部を筋肥大させるためには、速筋(筋繊維タイプ2b)をターゲットに10回程度の反復回数で限界がくる高負荷でトレーニングを実施する必要があります。

僧帽筋のトレーニング種目一覧

懸垂
斜め懸垂
チューブデッドリフト
チューブローイング
チューブベントオーバーロー
チューブワンハンドローイング
チューブリバースフライ
チューブショルダーシュラッグ
ダンベルローイング
ワンハンドローイング
ダンベルショルダーシュラッグ
ダンベルデッドリフト
ダンベルリバースフライ
バーベルデッドリフト
ベントオーバーロー
ショルダーシュラッグ
ケーブルローイング
スミスマシンデッドリフト
T-バーローイング

bukiya.net/sfphes.orgより

僧帽筋の鍛え方

パラレル懸垂

狭い手幅で行うパラレル懸垂は、背筋群のなかでも僧帽筋と広背筋中部に高い負荷のかかるバリエーションです。

ノーマル懸垂同様、しっかりと肩甲骨を寄せることを最優先して動作を行ってください。

チューブデッドリフト

チューブデッドリフトは背筋群全体に負荷がかかる、基本とも言える種目です。

背中が丸くならないよう胸を張り、やや目線を上げて動作を行うことがポイントです。

チューブショルダーシュラッグ

チューブショルダーシュラッグは僧帽筋に集中的な負荷がかかります。

肘関節は伸ばしたまま、肩甲骨を寄せる動きに専念して実施してください。

チューブローイング(広背筋中央部)

チューブローイングは背筋群全体に負荷のかかる種目です。

上半身を倒しすぎないように留意し、トレーニングを実施してください。

チューブリバースフライ

チューブリバースフライは僧帽筋と広背筋中央部に負荷のかかる種目です。

上半身を反らせないよに気をつけ、肩甲骨を寄せる動作に集中して実施してください。

ダンベルデッドリフト

ダンベルデッドリフトは背筋群の基本ダンベルトレーニングとも言える種目で、もっとも高負荷をかけることが可能です。動作ポイントとして最も大切なポイントは、背すじを真っ直ぐに保ったまま動作を行うことで、背中が丸まってしまうと腰椎に強い負担がかかってしまいますので、十分に注意してください。

背すじを真っ直ぐに伸ばすためには、胸を張り、やや上方に目線を向けることでずいぶんと姿勢がとりやすくなります。また、膝関節への負担を避けるため、膝がつま先よりも前に出ないように留意してください。

ダンベルを引き上げた後は、しっかりと肩甲骨を寄せ、背筋群を完全収縮させることも重要なポイントです。

ダンベルローイング

ダンベルローイングは僧帽筋と広背筋に対して負荷のかかるトレーニング方法で、いくつかのバリエーションがありますが、初心者でも取り組みやすいのがベンチなどに片手をついて行うワンハンドダンベルローイングです。

胸を張り背すじを伸ばして構えたら、目線を前に向けて背中が丸くならないように留意してください。

ダンベルショルダーシュラッグ

ダンベルショルダーシュラッグは僧帽筋に対して集中的な負荷をかけられるトレーニング方法です。肩をすくめるような動作でしっかりと肩甲骨を寄せることが重要で、この時にできるだけ他の部位を動かさないようにすることがポイントです。

ダンベルリバースフライ

ダンベルリバースフライは僧帽筋と広背筋中央部に集中的な負荷をかけられるトレーニング方法です。初心者にとっては姿勢がとりづらい種目ですが、ベンチなどに頭をつけ、姿勢を安定させると比較的簡単に動作を行うことができます。

スミスマシンデッドリフト

スミスマシンデッドリフトは、フリーウエイトトレーニングに近い感覚でトレーニングを行える種目で、なおかつマシンレールが軌道のブレを支えてくれるので、使用者はフリーウエイトのデッドリフトよりも負荷を引き上げることに集中できます。

反面、軌道が完全に固定されているので、軌道のズレは全て使用者の身体に返ってきてしまいます。このため、使用者は事前にシャフトだけで軌道確認を行ってからセットを行ってください。

Tバーローイング

Tバーローイングは、フリーウエイトトレーニングのバーベルベントオーバーローに近い感覚のマシントレーニングです。

ただし、使用者はバランスをとったり軌道を確保する必要がないため、負荷を引き上げることに専念できます。

フォームのポイントは、腰椎に負担をかけないよう胸を張り背すじを伸ばして背中を丸めないよいにすることと、膝関節に負荷をかけないよう膝をつま先より前に出ないようにすることです。

ケーブルローイング

ケーブルローイングは、背筋群のなかでも中央ライン、すなわち僧帽筋と広背筋中央部に有効なトレーニング種目です。

ケーブルを引いた位置でしっかりと胸を張り、肩甲骨を寄せきって背筋群を完全収縮させることがポイントです。

なお、使用するケーブルアタッチメントにより負荷のかかる部位が変化しますが、それは次の通りになります。

パラレルグリップ(ナロー)

もっともスタンダードなケーブルローイングが、パラレルナローアタッチメントで行うやり方で、背中の中央ラインに有効です。

ストレートアタッチメント(ナロー)

ストレートアタッチメントを狭い手幅で順手持ち(手の甲が上)で行うバリエーションでは、僧帽筋に高い負荷を加えられます。

ストレートアタッチメント(ワイド)

ストレートアタッチメントを肩幅より広くグリップするバリエーションは、広背筋側部に有効です。

ストレートアタッチメント(リバース)

ストレートアタッチメントを狭い手幅て逆手持ち(手の平が上)するバリエーションでは、広背筋下部に負荷が集まります。

バーベルデッドリフト(背筋群)

バーベルデッドリフトには大きくは二種類のバリエーションがあり、それは以下の通りです。

◯ルーマニアン(ヨーロピアン)スタイル

両足の外側でバーベルをグリップする

◯ワイドスタンス(スモウ)スタイル

両足の内側でバーベルをグリップする

いずれのスタイルにおいても、もっとも大切なフォームポイントは背中を丸めないことで、背中が丸まった状態で動作を行うと、腰椎に非常に強い負担がかかりますので、十分に留意してください。

また、膝をつま先より前にださないこと、膝の向きとつま先の向きを揃えること、も膝関節保護のために重要です。

なお、背筋トレーニングとして広背筋や僧帽筋にしっかりと負荷を加えるコツは、バーベルを引き上げた位置で肩甲骨を寄せきり背筋群を完全収縮させることです。

ルーマニアン(ヨーロピアン)スタイル

肩幅程度に開いた両足の外側でバーベルシャフトをグリップするスタイルで、背筋群にかかる負荷が高いやり方です。

このため、背筋トレーニングとしてデッドリフトを行う場合は、通常ルーマニアンスタイルで行います。

また、パワーリフティング競技でも、腕の長い海外の選手がこのスタイルを使うことがあります。

ワイドスタンス(スモウ)スタイル

大きく足を開いて両足の内側でバーベルシャフトをグリップするスタイルで、背筋群だけでなく下半身にも負荷が強くかかります。

バーベルを引く距離が短くなるという利点もあり、パワーリフティング競技でのデッドリフトは、基本的にはこのスタイルで行われます。

一般的なトレーニングとしては、下半身トレーニングのルーティンと干渉してしまうため、あまり行われません。

デフィシットデッドリフト(下半身と背筋群)

デフィシットデッドリフトは、台などの上に乗り、通常のデッドリフトよりもさらに深くバーベルを下ろすバリエーションです。

ハーフデッドリフト(背筋群)

ハーフデッドリフトは、台などの上にバーベルプレートを乗せ、通常のデッドリフトよりも浅い位置で背筋群にのみ負荷を加えられるバリエーションです。

バーベルベントオーバーロー(背筋群)

バーベルベントオーバーローは、広背筋を中心に僧帽筋にも効果の高い種目で、中腰前傾姿勢の「ニーベントスタイル」で行います。

ニーベントスタイルのフォームのポイントは、胸を張り、背筋を伸ばし、膝がつま先より前に出ないようにすることです。

実際にバーベルを引く時は、バーベルの重心と身体の重心が離れないようき、バーベルシャフトを太ももの上を擦るような軌道で行います。

バーベルベンチローイング

バーベルベンチローイングは、バーベルシャフトをフラットベンチの下に遠し、フラットベンチの上にうつ伏せになってバーベルを引き上げるトレーニングです。

バーベルを引く軌道が体幹に対して正面からになるため、広背筋の側部に高い負荷を加えられます。

また、腰に不安がある場合に、ベントオーバーローのかわりに行われます。

バーベルショルダーシュラッグ(僧帽筋)

バーベルショルダーシュラッグは、僧帽筋に負荷を集中させられるトレーニングです。肩甲骨を寄せる動作に意識を集中し、肩関節や肘関節を動かさないようにすることが重要です。

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