腸腰筋の構造・作用・起始停止と鍛え方(筋力トレーニング)

腸腰筋(Iliopsoas)の構造・作用およびトレーニング方法について解説します。
【2021年1月更新】
腸腰筋の構造と作用
腸腰筋は大腰筋・小腰筋・腸骨筋の三つの筋肉から構成され、主に股関節の屈曲(脚を上げる)作用があります。また、股関節の外旋にもわずかながら関与しています。
腸腰筋(ちょうようきん)は腰椎と大腿骨を結ぶ筋肉群の総称。腸骨筋と大腰筋が関連している。内臓と脊椎の間にあり、深部腹筋群とも総称され見えない筋肉の一つ。主に股関節を屈曲させる働きをする。
脊柱を前屈させる筋でもあるため「深腹筋」と呼ばれることもあり(とくにスポーツ選手やトレーナの間でよく用いられる)運動に非常に重要な働きをしている。
大腰筋の作用と起始停止・支配神経
大腰筋は股関節屈曲(脚を前に上げる作用)および僅かに股関節外旋(つま先を開く作用)があります。
大腰筋は、第12胸椎~第1~4腰椎(側面と椎間円板)および第1~5腰椎の肋骨突起から起始し、小転子で停止します。
支配神経は、腰神経叢の筋枝です。
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小腰筋の作用と起始停止・支配神経
小腰筋は脊柱屈曲の補助に作用します。第12胸椎と第1腰椎から起始し、腸恥隆起で停止します。支配神経は 腰神経叢です。
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腸骨筋の作用と起始停止・支配神経
腸骨筋は股関節屈曲(脚を前に上げる作用)と脊柱屈曲作用および僅かに股関節外旋(つま先を開く作用)があります。
腸骨筋は腸骨窩と下前腸骨棘から起始し、小転子下方で停止します。支配神経は腰神経叢の筋枝です。
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腸腰筋の鍛え方
前述の通り、腸腰筋は股関節屈曲(脚を上げる)の作用があるため、走る能力が要求されるスポーツでは非常に重要なインナーマッスルです。また、日常での歩行能力にも大きく関わるので、そのトレーニングは健康作り運動としても盛んです。
具体的には、レッグレイズ系の足上げ運動種目で鍛えられます。
また腸腰筋は、股関節伸展を作用とするハムストリングス(大腿二頭筋・半腱様筋・半膜様筋)の拮抗筋にあたるため、フロントランジ系トレーニングやブルガリアンスクワットなど、ハムストリングストレーニング種目におけるネガティブ動作(負荷に耐えながらしゃがむ動き)のなかでも鍛えることが可能です。
腸腰筋が関与するトレーニング種目は以下の通りです。
腸腰筋のトレーニング種目
自重トレーニング
レッグレイズ
レッグレイズは腹直筋下部のトレーニング種目ですが、腸腰筋の作用である「足を前に上げる」動作をともなうことから、腸腰筋にも有効なトレーニング種目です。
腰を浮かせないように気をつけ、また、反動を使わないように動作します。
なお、足はあまり高く上げる必要はなく、足を上げる角度は45度前後が適切です。
ブルガリアンスクワット
ブルガリアンスクワットは、片足を後ろにして台などに乗せて行うスクワットバリエーションです。前にした脚の膝がつま先よりも前に出ないように注意して動作します。
フロントランジ
フロントランジは、ブルガリアンスクワットを低強度にしたようなスクワットバリエーションです。
チューブトレーニング
チューブレッグレイズ
チューブレッグレイズは、自重でのレッグレイズにトレーニングチューブのレジスタンス負荷を追加したトレーニング種目です。
ダンベルトレーニング
ダンベルレッグレイズ
ダンベルレッグレイズは、通常のレッグレイズに加え、足首位置でダンベルを挟むことでウエイト負荷を追加したバリエーションです。
ダンベルフロントランジ
ダンベルフロントランジは、ダンベルを保持することで、通常のフロントランジにウエイト負荷を追加するやり方です。
バーベルトレーニング
バーベルフロントランジ
バーベルフロントランジは、より高負荷を腸腰筋群に加えられる種目です。
股関節の構造と周辺の筋肉
股関節を構成する骨
股関節は骨盤骨の窪みである寛骨臼に大腿骨の先端である大腿骨頭がはまるようにして構成されている球関節です。
また、股関節周辺には恥骨・脊椎骨(腰椎・仙堆・尾堆)が位置しています。
股関節(こかんせつ)は寛骨臼と大腿骨頭よりなる球関節(関節部分が球形(股関節の他に肩関節))であり、荷重関節(体重などがかかる関節(他に膝関節など))である。大腿骨頭は半球を上回る球形で、寛骨臼は深く大腿骨頭を収納するように形成され、大腿骨頭が容易に脱臼できない仕組みになっている。
股関節周辺の筋肉
股関節を構成している主たる筋肉(または周辺の筋肉)には、大腿直筋(大腿四頭筋)・腸腰筋群・内転筋群・臀筋群・大腿方形筋・縫工筋・梨状筋などがあります。
股関節周辺の筋肉の鍛え方
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